2017年5月30日火曜日

アーティストのビジネス感覚



「芸術家はもっとビジネス(需要)としてのアートを考えた方がいい」

という考えには概ね賛成なんだけど、それまでファインアートしかやったことのない人にそこだけ言っても「んじゃこれやったら売れるんじゃないか」とか「儲けてやれってことか」とか、突然悪徳押し売りみたいな極端な発想になっちゃう人が意外といたりする。


清貧と求道で生きてきた人はどうしてか、ビジネスという言葉が、社会の需給と必要を満たすことへの対価という根本原理でなく、金銭稼ぎという言葉に短絡しちゃいがち。

で、あんまり良い考えも浮かばず、かえって自分の制作に乱れを生じることになり、その結果「売れることを考えて作るなんて芸術への冒涜だ」「売れなくても芸術そのものが報酬だ」というような所に逆戻りしてかえって頑なになっちゃう。

でもアートが広まるのはとっても社会の健康のためにいいことだしそれを広めるのはアーティストにしかできないんです。
ビジネスというのは、金儲けではなくて、仕事に対する正当な対価を受け取るシステムを作ること、そしてその仕事が社会に必要とされること。

アーティストは作り手だから、あんまり小賢しい考え方をしなくても、自分の信じるものを作ればいいのです。

世の中にそれを必要としている人は必ずいます。
より広く知ってもらい、必要としている人に届けるために少しのアイデアと時間を割くだけでいい。
それは芸術だろうが日用品だろうが作り手の最低限の責任なのです。

日本のアーティストは画廊や百貨店の搾取に慣れすぎてると思います。
彼らが中間マージンに見合った努力や労働をしてるかというと、ちょっと首をかしげざるを得ない部分が多々あります。
アートの業界だけ、いろいろ昭和のまんま。
旧式の画廊で絵を買う時代はもう終わりです。


ビジネスなんて言わなくても、例えば自分の作品の原価、人件費、流通コスト、営業経費ぐらいはアーティスト自身で計算できた方がいいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿