2014年12月4日木曜日

Davidoff Royalty Mixture





ダビドフ・ロイヤルティ・ミクスチュア
使用葉:オリエント(トルコ葉)、ヴァージニア、ラタキア
原産国:デンマーク(オーリックOEM)
価格:3800円/50g(2014)

オリエント系ミクスチュアの上質なtobacco。


開缶すると、やや厚めの中蓋の下に非常にきれいなリボンカットが詰められている。
生葉の香りはラタキアの香りだがそれほど強くはない。それ以外の着香は感じられずいたってマイルドだ。
葉様はオレンジバージニア、明るいオリエント葉が目立ち、そしてほんのり黒いラタキア。全体的に乾燥しており、パイプに無造作に詰めても火付き火持ち共に非常に良い。




喫味は終始、スムース&マイルド。
序盤はバージニアの程よい甘みとtobaccoらしいほのかなアロマが支配する。バイトもなくあからさまに主張するものはない。
中盤も喫味は変わらずマイルドだが、アロマに次第に香ばしさが増してくる。おそらくオリエント葉の個性であろうシガーライクなアロマが交じって陶酔感が顔を覗かせる。
終盤になってやっとほんのりとラタキアがキャラクターを主張し始めるが、終始やさしいしかしちょっと乾いた喫味とアロマが最後まで続く。
終焉の余韻は殆どない。


ところで国内のネットレビューを読むとこのtobaccoの評判の悪さが目立つ。おそらく価格に比して味わいの個性がなかなか感じられないためではないかと思われる。

実際にはシルキーで上品な美味いtobaccoだ。
価格以外は全ての人に薦められる。
パイプ初心者も上手に美味しく喫えると思う。しかしそのポテンシャルは初心者向けというよりはシガーもパイプも楽しめる上級者向きだろう。
ただし、日頃バニラや着香キャベンディッシュなどどぎついパイプ葉に慣れてしまっていると、ワンボウルではこのtobaccoの魅力はなかなか見えづらい。

パイプ喫煙者向けというよりは、普段はダビドフのプレミアムシガーを嗜む人へ、たまさかのパイプスモーキングタイムのために用意したのでは?ともとれるほど、シガーにも通じるスムーズさ、アロマの抑えの効いた心地よさ。もちろんシガーのそれに比べればほんの心持ち程度だが、ルームノートにも確かにシガーに通じる軽やかさ、華やかさがある。それは着香で得られるものではなく、明らかに葉そのものの上質なチョイス、ブレンドによるものと思われる。
それは良くも悪くもシガー的アプローチであり、それによって仕上がるマイルドさと上品さは、確かに日頃からパイプオンリーで暮らしているといささか物足りなさを感じるかもしれない。

しかし燻らすごとにダビドフのレシピの底力を感じるのは確かだ。
それは明らかにオリエント(トルコ煙草)の配合にあると思う。
ボウルを重ねる毎に、実はオレンジバージニアよりもずっとオリエント葉が主張し、このtobaccoのキャラクターを支配していることに気がつく。

エルキュール・ポワロの中にトルコ煙草を喫う男の話が出てくる。男が喫うトルコ煙草はジタンやゴロワーズのような黒煙草ではなく、ロイヤルティミクスチュアに使われているような浅煎りの黄金葉である。そしてこのゴールデンターキッシュはtobaccoの黄金時代、最上級シガレットの一つだった。

ロイヤルティミクスチュアの欠点はとにかく国内価格が高価だということ。プレミアムシガーと比べれば安いかもしれないが、パイプ葉の中では飛び抜けて高い。
一喫の価値はあるがパイプスモーカーに広く支持されるとは思えない。もちろんダビドフにとってはそれでいいのだろう。

ニコチン酔いの心配はなし。
よほど乱暴に喫わない限り、舌荒れの心配は皆無。
常喫性はとても高い。
合う飲み物はブランデー、ウィスキーなど。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○★○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○★○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○★○○○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○○★→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○★○○○○→強

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